防災とボランティアのつどい

@リアス代表の鹿野です。

2月2日に神戸で開催された「令和元年度防災とボランティアのつどい」にl登壇しましたのでご報告です。会場はこちら。兵庫県公館です。

このイベントの主催は内閣府で、、ボランティア元年と言われた阪神淡路大震災から25年が経過したこの時期にあらためて災害ボランティア活動に関わった多くの方々が集まってこれまでの歩みをふり返り、そしてこれからのあるべき姿を考える。という趣旨で開催されました。

冒頭、今井絵里子内閣府大臣政務官の挨拶からスタートし、続いて井戸兵庫県知事の挨拶へと続きました。

さて、ここからが、本題


第1部は 基調対談「阪神・淡路大震災と『防災とボランティア』」と題し
室﨑益輝 さん(兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科長)と
渋谷篤男さん(中央共同募金会専務理事)
そして、聞き手として松本 浩司(日本放送協会 解説委員)という豪華な布陣。

室﨑先生からは、災害ボランティアの成り立ちやこれまでの経過、そして黎明期のボランティアは企業や組合を主体とした集団であったこと。阪神淡路大震災以降は、熱い想いに支えられた個人の活動へと変遷をたどったことなどが語られました。
更には、ボランティアと一口で言っても多様である事や、一方で抱えている課題についても話題が及びました。

続いて全社協の渋谷さん。
阪神淡路大震災以降、中越地震など、大災害への支援体制が形成されていく過程について解説をなさいました。
その過程において外部からの支援をどのように仕組化するか、、その後生まれてくる支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト)の役割や使命などもお話し頂きました。


第2部はリレートーク「阪神・淡路大震災から生まれた多様な人材」と題して
進行を菅磨志保 さん(関西大学社会安全学部 准教授)
話題提供として
野崎隆一 さん(神戸まちづくり研究所理事長)
高橋守雄 さん(ひょうごボランタリープラザ所長)
長澤恵美子 さん(一般社団法人 日本経済団体連合会 SDGs本部 統括主幹)
東末真紀 さん(神戸大学学生ボランティア支援室ボランティアコーディネーター)
が順に報告。

まずは野崎さんから。
阪神淡路大震災時の自身の経験から災害復興のあり方について《被災者主体》というキーワードで、そこに寄りそう専門家の支援、中長期的に復興に関わる事の出来る人材の育成。等の重要性を強調しておられました。

続いて高橋さん。
ひょうごボランタリープラザの事業内容や被災各地へのボランティア派遣などの報告がありました。

次に企業からの目線で経団連の長澤さん。
阪神淡路大震災をボランティア元年であると同時に、企業とNPOとのパートナーシップ元年である。と位置づけ、その後発生した災害時にどのような取り組みを展開したのか、また、今後どうあるべきなのか。といった示唆に富んだ内容の報告でした。

そして、学生と共に東日本、熊本などの被災地支援に関わっている東末さん。
阪神淡路大震災をリアルタイムで経験していない学生達が多地域の災害支援を通して何を学ぶのか、そして振り返って神戸において過去の経験を次世代に受け継ぐといった《継承》をどう考えるのか。などに焦点を当てて報告をなさいました。

全体を通して、専門家、ボランティアコーディネート機関、企業、若者など、、多様な人材(セクター)からの視点でボランティアを考える機会でしたが、共通して言えるのは、いかに《自分事》として捉えられるか。そして、セクターを越えて《つながりあう》事の重要性。といったことが重要である。というメッセージを感じました。


そして第三部 やっと出番が回ってきました。
第3部 パネルディスカッション
お題は「災害ボランティア活動の歩みと、いま、これから」
コーディネーターに栗田暢之 さん(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)代表理事)
パネリストには
吉椿雅道 さん(CODE海外災害援助市民センター 事務局長)
樋口 務 さん(くまもと災害ボランティア団体ネットワーク 代表理事)
詩叶純子 さん(岡山NPOセンター・まび復興支援センター)
前原土武 さん(災害NGO結 代表)
そして、私、鹿野順一 (アットマークリアスNPOセンター 代表理事)

まず、コーディネーターの栗田さんから、阪神淡路大震災、中越地震、東日本大震災、熊本地震、そして九州北部豪雨、西日本豪雨、、、各地を襲った様々な災害において《ボランティア》の活動がどのような役割を果たしたのか。そして、被災地域での活動や支援のコーディネートの重要性などの話題提供がなされた。

これを受けて、吉椿さんからは、神戸のみならず、海外でのボランティア活動を通して、被災者1人1人に関わってきた経験が述べられました。
その中でも、最後の1人まで。という理念と、常に、今目の前にいる人が最後の1人かもしれない。という思いで真摯に向き合うことが重要と話されていたことが印象的でした。

続いて、鹿野からの話題提供。
被災地のNPOとして、外からの支援をどう受け入れたのか?地元の中間支援としてどのような点に気を配ったのか?という投げかけに応える形で話題提供を行いました。
伝えたいメッセージとして《復旧・復興のプロセスに地元の担い手が関わる事が重要》そして《短期的課題・長期的課題・継続的課題それぞれへのバランスが大事》の二つをあげました。
そこに暮らす者としては、復旧復興期間だけを見るのでは無く、その後に続いていく地域(被災地)の未来を考える視点が大事。そして復旧復興を成し遂げることがゴールでは無くて、その先の未来へ向けてのスタートなのだ。ということをお伝えしました。
外部からの支援と地元の担い手が、上手に混ざり合い、お互いを理解しながら役割を分担していくことが重要だと思うんですよね。

次に、熊本地震被災地において県域の中間支援を行っているKVOADの樋口さん。
災害発災直後から、行政との連携・協働による支援コーディネートを手がけてきた経過や、地元メディアとの連携がボランティアニーズの発信に大きな役割を果たした事などが話題としてあがっていました。

続いては、西日本豪雨災害時に地元の中間支援として《災害支援ネットワークおかやま》を設立し、情報発信や情報連携に役割を果たした岡山NPOセンターの詩叶さんからの話題提供。
スピード感を求められる被災地での情報収集や、正確性が求められる情報発信に、様々なICTツールを組み合わせて仕組みにすることで被災地の現在(状況)を可視化することができた。そして地域の中間支援組織として《支える人達を支える》という立ち位置で災害ボランティアセンターなどの運営支援を行ってきたこと等が報告されました。

そして、このセッション最後の話題提供は災害NGO結の前原土武さん。東日本大震災以降多くの災害現場に外部支援者として駆けつけ、主に作業系ボランティアのコーディネートや災害ボランティアセンターの立ち上げ支援などを行っておられます。
現在は台風19号によって大きな被害を被った長野市で支援活動をしているとのことで、その状況や見えてきた課題などを報告。そして新たな取り組みとして、住民、ボランティア、行政、自衛隊など多くのセクターや担い手が関って作業を展開している《災害廃棄物回収プロジェクト》についても報告がなされました。

最後に、イベント全体の感想を。
三部構成のイベントは登壇者も多く、テーマも多岐にわたったことから十分な議論が成されたとは言えなかったかも知れませんが、これからも起きるであろう災害に、それぞれの置かれた環境や立ち位置(立場)でどのように関われば良いのか、そしてどのような役割が期待されているのか、、等を考える大きなきっかけになったと思います。
登壇の機会を頂き、更に多くの学びを得た本当に楽しい時間でした。

まずはご報告と言うことで。

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