震災でたくさんの人の命を救ったこの場所。
誰が名づけたのか知らないけど、「ひなん道路」って子どもの頃から呼んでた。
ちょうどこの場所にあった小さな洞穴はまるで秘密基地で、
小さかった僕たちにとって恰好の遊び場だった。
放課後、「ひなん道路で遊ぼう」って普通に約束してた。
漫画本やラムネを持ち込んで遊んだ。
危ないってことで、いつか子ども達だけで行ってはいけない場所になったけど、
それでもこの「ひなん道路」を忘れることはなかった。
息子たちも小さなころからここで虫取りしたり散歩をしてたから、
「ひなん道路」という名前はもう体に染みついているようだ。
津波は世界一の防波堤を越えてたくさんの人や街を飲み込んでしまったけど、
この「ひなん道路」は津波に負けなかったのだと思う。
津波から身を守る術を年に一度の避難訓練だけではなく、
普段の生活の中で子どもの頃から受け継がれていたということに、
今さらながら驚いた。
kamaishi city,tadakoe cho, Sep 2011