行政と地域のDXを考える。(2/2)第3回かまいしDX勉強会を開催しました!!

第3回かまいしDX勉強会を開催しました!!

前回の投稿では、酒田市デジタル変革戦略室長の本間様から「酒田市におけるデジタル変革」の内容と経過についてお話しを頂きました。

本投稿では、勉強会後半として「地域課題解決の手法 酒田リビングラボ」について、野田徹氏(酒田市CDO補佐官/(株式会社NTTデータ 課長)からお話しを頂きました。

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野田 徹氏 酒田市CDO(最高デジタル変革責任者)補佐官/(株式会社NTTデータ 課長)

(以下、本間様の講演内容を要約して記載しております。)

市民参画と酒田リビングラボ

野田:DX推進において市民参画をどのように考え、位置づけるのか。というお話しから入るのですが、市民参画自体は既に皆さんご承知の通り「市民の意見や議論をもとに必要な政策や事業を進めていく。」ということになりますが、これを受けて酒田市のDX室がどのように考えているのか。というところから進めて行こうと思います。

一つには「行政発の市民参画」という考え方。行政から課題を市民に投げかけて意見を集める。という手法。もう一つが「市民発の市民参画」という考え方です。そもそもの課題自体を市民から挙げてもらうという手法。

市民参画という意味ではこの二つの手法をバランス良く動かしていくことが重要になると考えています。今回は「市民発の市民参画」に位置づけられる「酒田リビングラボ」についてご紹介させていただきます。

リビングラボという手法自体は酒田市独自のものではありません。では、一般的なリビングラボと酒田リビングラボの違いは何か?というところの説明をさせて頂きます。

一般的にリビングラボという手法は、生活環境を実験の場(ラボ)と捉えて、社会課題を住民と企業等が一緒になって新しいサービスを生み出す仕組み。と捉えられます。

酒田リビングラボは、そこに「デジタルでの課題解決」という観点を追加する、という取り組みになります。

但し、市民の皆さんから課題を伺うと、必ずしも解決策にデジタルが不可欠とは言いにくい課題も当然出てきますので、既存の部署との連携を図りつつアナログ的な手法も取り入れながら柔軟な道筋をつくっていく事になるかと思います。    

酒田リビングラボの進め方とプロセス

では、具体的に「酒田リビングラボ」をどのように進めていくのかというところに進みます。

「デジタルでの解決」という点を重要視していることもあって、一般的なリビングラボのプロセスよりも課題解決アイデアに基づく「プロトタイプ」の作成や検証に重点を置いたプロセスとなっています。

プロジェクトのサイクルとしては、図に示したとおりですがリビングラボの立ち上げからスタートしていきます。

現在進めている「酒田リビングラボ」については、昨年度途中からプロジェクトが開始しており、現状は⑤のサービス&ビジネスモデル検証という段階となりますので①〜⑤に関しては実績に基づいたお話し。⑥〜⑦に関しては今後どのように動いていくのかという想定のお話し。という事で話を進めていきます。 

まずは、リビングラボをどのように進めていくのかという実施方法の検討からスタートするのですが、先行事例の調査、目的の整理、連携可能性の検討、広報を通じた市民の参画について、など多くの検討項目がありました。

また、これらの検討を踏まえた上で「パイロット版リビングラボ」を実施し、集客、議論、傾向分析などを行い本格運用のための準備を行いました。
また、この段階で運営部隊の立ち上げも行いました。コアメンバーに求められるスキル等も整理し、お声がけも行いました。

 

 

パイロット版の実施、運営部隊の立ち上げを踏まえ、集まったメンバーで次のプロセス(調査・課題発見)に進みました。

ここで最初に取り組むテーマの検討を行いましたが、パイロット版での意見や市民アンケートの結果を文好きするところから検討を進めて「若者がより活躍しやすくなる」をテーマに選定し、次のプロセス(課題抽出ワークショップ)へと進みました。

ワークショップを通じて出てきた課題に関しては、コアメンバーが中心にとりまとめを行い、酒田市のホームページ等を通じて広く市民の皆さんにも公開しました。

テーマを選定し、それに基づく課題を抽出した後は、解決アイデアの作成と評価というプロセスへと進みます。

アイデア作成についてもワークショップを開催することになるのですが、デジタルの手法で課題解決を進めていくためには、それを実現するためにもそれを実現できる事業者の参画は必須と考えていましたので、できるだけ早いタイミングでと思い、この段階からIT事業者の皆さんにも参加していただきました。
IT事業者の参加募集ついては、酒田市の事業者のためのDXコミュニティ「やまがたDXコミュニティ」を通じて行いました。

ワークショップで出された多くのアイデアについては、コンセプトペーパーに整理したうえでオンラインアンケートやインタビューを行いニーズの把握とブラッシュアップを行います。

コンセプトペーパーにまとめられた課題解決アイデアをもとにIT事業社にプロトタイプの作成を依頼するというプロセスに進みます。
この段階で言うプロトタイプに関しては本当に簡易なものをイメージしており、IT事業者にある程度の自由度を持って作成して頂いています。

次のプロセスとしては、サービス&ビジネスモデルの検証という段階となります。

ビジネスモデルの確認に関しては、事業社さんにお願いしておりますが、サービスモデルの確認に関しては、市民アンケートとワークショップによる評価という手法で進めます。

ちなみに、この評価ワークショップですが、まさに本日この時間帯(勉強会開催日:9月27日 17:30~19:30)に酒田市で開催されていますので、この後のスライド部分については「今後の予定」ということになります。

この後はプロトタイプ後期の作成やユーザーテスト、それらのフィードバックなどを行い、サービス化に向けた開発と進んでいく予定です。

酒田リビングラボの苦労した点

さて、それではここからは酒田リビングラボを運営していく上で苦労した点についてのお話しに入ります。

運営部隊の立ち上げ時に、各工程で必要になるスキルの整理を行ったというお話をしました。
しかし、それらスキルを持ち合わせた「サービスデザイナー」人材がなかなか見つからないというのが現実だったんですね。
そこで酒田市はどうしたか?というと、酒田市に限らず広範囲に人材を探す事はもちろんですが、同時に全てのスキルを求めない。という事も考えました。
足りない部分は適時外部人材に教えていただきながら進めていくという方向で進めました。

二つ目はプロトタイプ前期での苦労点です。
これは苦労と言うよりも予測できるリスクですが、解決アイデアを実際にサービス化する事業者が出てこない。という可能性があるということです。

今回の場合は、その意欲を持った事業社さんが現れたのでホッとしたというのが正直なところですが、現れない場合を想定して次の策を用意していたのでご紹介します。

プロトタイプ前期に関する対応フローを準備段階で検討し、もしも事業社さんが出てこない場合は民間が提供している課題解決マッチングの仕組み(Urban Innovation JAPAN )を活用する想定をしていました。

最後の苦労点ですが、自治体の予算を確保することについて。です。
リビングラボの取り組みのように、検討を進めながら動き方を変えていくような取り組みには自治体の予算確保の仕組みが合わない。ということ。

では、どのようにアクションを起こしたのかというと、仮説を立てて実施する内容を丁寧に説明をする。パイロット版の成果を実績として事業をきちんと整理する。ということを行いました。

今後の想定

先ほどもお伝えしましたが、本日この時間(勉強会開催日:9月27日)にサービス&ビジネスモデルの評価を行うワークショップが開催されておりますので、その結果を受けて問題が無ければプロトタイプ後期、というアクションに繋がっていく予定です。

以上で私からの酒田リビングラボについてのと発表を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

意見交換(質疑)

前半(酒田市デジタル変革戦略)と後半(酒田リビングラボの取り組み)含めた意見交換の様子です。

参加者:私が考えているもっとも大きな地域課題として、町内会などに代表される地域経営組織の弱体化があります。地域経営組織の弱体化はそれ自体が抱える課題だけでは無くて、将来的には行政コストの増大へと繋がりかねないと考えています。
これらを考えると、デジタル化やDXという考え方は多様なサービスの提供や効率化だけでは無く弱体化している地域経営を支えていくという考え方もあるのかな。と思いました。

本間:酒田市においても今話題となった地域経営組織の弱体化は同様に課題となっていると認識しています。ただ、福祉分野の特性として「対面」を大切に考えるというところがあります。
デジタル推進という考え方とはちょっと違うかな。と思うところはあります。
もちろん。対面の重要性を否定する。ということでは無く将来的な行政コストの増大を防ぐ意味でも庁内業務の効率化を図ることや、デジタルを活用すべき部分とアナログを大切にする部分をきちんと議論して市民サービスを提供していく。という方向性だと考えています。
そして、ここ最近では自治会業務にデジタルを活用できないだろうか。という相談を受けることが出てきました。住民自治の現場から危機感を認識する動きが出てきたことは明るい話題だと思います。

まとめ

今回の勉強会は前半後半を通して、参加者からも多くの質問がなされたり、そこから広がる意見交換も続くなど大いに盛り上がりました。
「行政・住民・地域課題」といった身近なテーマを取り上げたことで、誰しもが関係者であり当事者である。という空気感は、まさに地域のDXを考えていく上でも大切な経験でした。

今回の勉強会をきっかけにした具体的なアクションに関してはこれから継続して話し合いを持って行くことになりますが、本当に多くの学びを得る事が出来ました。

ご参加頂いた皆様、講師を務めて頂いた本間様、野田様、ありがとうございました。
次回もまた有意義な学びの機会を創りたいと思います。

 

 

 

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