2020年10月26日(月)発災から4ヶ月が経過した熊本水害被災地の現状と課題を発信するためのオンライントークイベントがYoutubeライブで開催されました。
このイベントは、おかやま親子応援プロジェクトの一環として開催されたもので、「ポストコロナ時代を見据えて~発災から約4ケ月。熊本の被災地は今どうなっているのか?現地との対話でできることを考える」と言うテーマでYoutubeを活用したオンライントークライブとして配信されました。
2020年7月に発災した熊本豪雨水害。熊本地震からの復旧復興の途上であり、全国的に新型コロナ感染症の拡大が懸念されていた時期の災害。
これまでの大規模災害でも外部支援の受入に関しては被災地の意向と支援者の要望がなかなかマッチしない。と言った状況がありました。しかし、今回は《新型コロナ感染症拡大予防》という観点から外部支援者に頼らない復旧・復興が強いられており、被災者、支援者を含めた現地の疲弊は相当のものとなっている様子。そして、被災地の今を知りたい。とおもう支援者目線で見ても現地の状況が分かりにくい状況となっているタイミングで開催されたライブイベント。
熊本(球磨村)現地からの状況報告や県域での被災地支援の状況や見通しなど注目すべき話題が展開されました。
今こそ、心の手をつなごう「こどもの育ちをとめないために」
主催:おかやま親子応援プロジェクト・YMCAせとうち
時間:19時〜21時
オンライントークライブ第2弾全6回のうちの2回目として開催された本イベント。出演・登壇者は以下の皆さんです。
岡山・熊本市・多良木をつないでのオンライントーク
司会進行、ライブ配信はYMCAせとうちの太田さんと、岡山NPOセンターの石原さん
旧多良木高校避難所の状況と運営について
球磨村の被災者が避難している旧多良木高校避難所の運営を担っている熊本YMCAの丸目陽子さん。熊本県多良木町から登壇。
YMCA熊本の丸目さんからは、球磨村で被災した住民の皆さんが避難している旧多良木高校避難所の運営支援について報告がなされた。
球磨村の復旧に関しては、その進捗は発災から4ヶ月の時間が経っているとは思えないほど進んでいない様子が見て取れる
旧多良木高校避難所は、球磨村から40kmほどは離れた場所にある。いわいる地域外避難であることは、土地勘がないとなかなか理解できていない。。。
熊本地震の際、益城町総合体育館の避難所運営支援の経験から、3つの目標を立てている。なかでも避難所生活を楽しむ。と言う目標は本当に大切だと思う。
コロナ禍での避難所運営。外部支援が入らないということ。その影響がどのように及ぶのかを可視化している。
コロナウイルス感染症の影響が期間限定である保証はどこにもないということを考えれば、今後の災害支援や防災のあり方に一石を投じる報告だと感じた。
外部支援者の受入に関する住民の真意!!
熊本地震の復旧復興支援を行っているKVOAD(くまもと災害ボランティア団体ネットワーク)樋口務さん。
今回の熊本水害に関しても行政民間をつなぐ中間支援としての役割を果たしている。樋口さんからは、地域内支援団体や行政、社協の動向や地域外支援者の受入などについての報告がなされた。
被災地情報共有・課題検討の場として熊本地震以降継続して開催されている《火の国会議》そこに参加している地域内の支援団体が連携して熊本水害への対応や行政・社協との支援調整も行っている。
コロナ禍での地域外からの支援者(ボランティア)受入について住民の皆さんからの聞き取りやアンケートを実施して、その意思を支援活動に反映させている。
その一方で、支援者側の判断のみで被災地入りする団体も。。。。
支援活動での感染拡大が最も懸念される事態であり、また、支援活動で訪れた熊本から感染を持ち帰る可能性もあり、いずれにしても不孝なことになる。。と樋口さんは語っていました。
今後被災地に必要な支援
全国の支援と被災地の状況をつなぎ後方支援を行っている熊本YMCA本部の神保勝己さん
神保さんからは、今後必要になる被災地支援についての話題提供がありました。家屋の片付けや仮設住宅での生活支援は当然ながら、子供たちへの学習支援、心のケア等に加えて、就学のための奨学金など、継続的な資金支援が必要になるとの見通しが示された。
まとめ
新型コロナウイルス感染症に対して、明確な治療法が確立されていない現状では、これを一過性の事として捉えることは出来ず、もしかしたら今年がコロナ元年で、2年、3年と続くのかもしれない。そうYMCAせとうちの太田さんはおっしゃいます。
たまたま今回は熊本だったけれど、つぎは。。。
いずれにしろ今回のような事態を他人事としてではなく、自分事として捉えることの重要性をきちんと理解し《離れていても繋がっている》という市民意識を高めていかなければならない。と結びました。
YMCAせとうちYoutubeアーカイブ
これまでの大規模災害では《離れていても出来る支援とは》というテーマで議論されることが多かったけれど、今回のように《離れた場所からしか支援できない》と言う状況を考える機会はほとんどありませんでした。
全てのボランティアがそうではありませんが《来るなと言われても、そこに困っている人がいたら行くのがボランティアだ》とおっしゃる方がいるのも事実。
人によって被災地、被災者、切り口は様々ですから一概に否定をするものでも無いし、そもそも被災地に100%全ての人が納得する答えなんてものが無いのもまた真理だと思います。
でも、この機会に一度立ち止まって《被災地支援・被災者支援》のあり方を考えてみてはどうだろう。そういった示唆が今回のトークイベントで示されたように感じました。